知っておきたい「The absorbent mind」のこと

The absorbent mind(吸収心)とは、赤ちゃんが無意識のうちにもって生まれた特別な力であり、子どもが自分の周りの環境に適応していくために必要な能力です。

生まれてから6歳頃までの子どもは、自分の周囲の文化を理解するために、言葉から人と人との関係に至るまで、自分の周りに関わるすべてを吸収していきます。子どもの心は、大人と違って、努力しなくても無限に、複雑なものでさえ細かいところまで全て吸収することができるのです。

モンテッソーリ博士は、このThe absorbent mind(吸収心)をカメラに例えて、このように説明しています。

「カメラと画家を比べてみましょう。もし誰かがカメラの前に立っていれば、カメラのシャッターを押すだけでその人の写真が撮れる。20人がカメラの前に立っても同じ作業をすれば、複雑な景色でも、カメラのボタンを押すだけで全てにピントが合う。画家は違いますね。一人の人間を描くのか、20人の人間を描くのか、描くべきものが少ないのか、多いのかによって全く変わります。カメラはどの写真も同じように簡単に撮れるが、画家にとっては大変な労力となります。」(マリア・モンテッソーリ『1946年London Lectures』50-51)。

A child paints at the easel which is the perfect opportunity to express their creativity without adult influence.
Caption: A child paints at the easel which is the perfect opportunity to express their creativity without adult influence.

子どもの心は、周囲の複雑な世界を簡単に捉えて認識できるだけでなく、それを正確に認識することができるのです。

モンテッソーリ博士は、もし誰かが何かのレプリカをほしがったら、絵を描く代わりに写真を撮るだろうと言い続けています。子どもの心はカメラ型、大人の心は画家型。大人になってからの学習は労力が必要ですが、子どもの頃の学習は疲れるどころか、元気が出ます。

モンテッソーリ博士は、「…The absorbent mind(吸収心)は、全く疲れを感じません。それはちょうどカメラのようなもので、画家だったら『ああ、手が疲れた』と言うところを、カチッと音がして、瞬時に作り出すのです」(52)と言っています。

Two children explore the Asia puzzle map which gives them a sensorial experience of geography.
Caption: Two children explore the Asia puzzle map which gives them a sensorial experience of geography.

モンテッソーリ博士は、子どもの発達の背後にある科学にも関心を持っていました。彼女が生きる時代には、発生学(胚の発生を研究する学問)の研究がちょうど始まり、彼女の仕事との間に多くの類似点を見い出しました。胚の生殖細胞は、一見すると勝手に増殖して、無数のバリエーションを作り出し、生き物を生み出しているように見えます。この生殖細胞は、とても大きな構築力と可能性を秘めています。子どももまた、生まれた瞬間から可能性に満ち溢れています。

しかし、モンテッソーリ博士はこうも書いています。「子どもは自分自身の中に潜在能力をもっており、それが彼らの発達を左右するのです。生まれたばかりの赤ん坊のこの『無』は、生殖細胞の見かけの『無』に匹敵する」(『The Absorbent Mind』50)。」

 赤ちゃんは本質的に「無」から生まれるにもかかわらず、すぐにあらゆるものを吸収し始めます。モノの印象、人の印象、その関係性が心に刻み込まれていきます。周囲の人々の言葉も、どんなに複雑で多様なものであっても、吸収していきます。養育者の態度や先入観さえも吸収していきます。

これは、私たちが常に心に留めておかなければならない事実です。このように、発達の第一段階で取り込まれた世界の理解は、その子の生涯にわたって残り、書き換えることは不可能ではないにしても、困難です。

A child works on spelling words with the moveable alphabet, wooden cut out letters which help the child express their ideas before they can write.
Caption: A child works on spelling words with the moveable alphabet, wooden cut out letters which help the child express their ideas before they can write.

0-3 歳 – 無意識のうちに吸収する

  • 大人の意見や先入観にあまり影響を受けない
  • 精神的機能や理解力をつくり出す時期
  • 内なる教師に従う

3-6 歳 – 意識的に吸収する

  • すでに身につけた力(記憶、理解、推論)が発達する。
  • 自分の意志が発達する
  • 順番や一貫性を必要とし、生活/ルーティーンを整えようとする
  • 大人の影響を受けやすく、大人の行動(いいことも悪いことも)を模倣しようとする

リョーザンパークプリスクールでは、子どもたちと接する際や子どもに良い環境をを整える際に、このThe absorbent mind(吸収心)という考え方を反映させています。教師は、子どもたちが自分の内なる教師に従って行動できるようにサポートをしています。また、大人からの過度の影響など、子どもたちの成長を妨げるものを取り除くように常に心がけています。

また、一貫したスケジュールを維持して、魅力的で満足感があり、子どものモチベーションを高められる作業や教材を提供して、子どもたちの意志が発達していけるように促しています。

私たちのスクールにぜひ足を運んでいただき、、日々この考え方が実践されていることをご覧いただければと思います。



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